みなさん、こんにちは。英語シニアディレクターの鍬田功樹です。今回は、英語の⻑⽂読解⼒を伸ばすための「精読」と「多読」について解説します。
こ英語の⻑⽂が読めるようになりたいと思ったとき、「とにかくたくさん英語を読め」「量をこなせば読めるようになる」というアドバイスを⽿にしたことがある⽅も多いのではないでしょうか。私⾃⾝も多読は継続しており、学⽣時代は、塾のテキストを数冊仕上げ、⼤学⼊試の過去問を10年分ほど解き、"21 Lessons for the 21st Century" のような洋書にも挑戦しました。
精読で基礎を固めてから多読に移⾏したことで、読解⼒は順調に伸び、読めない英⽂にぶつかって⾏き詰まるという経験はほとんどありませんでした。この順番が正しかったと今でも確信しています。
⼀⽅で、これまで多くの⽣徒を指導してきた中で、「たくさん解いているのに点数が伸びない」と悩む⽣徒に共通しているのが、多読から先に取り組んでしまっているということです。その経験から改めて感じるのが、「精読と多読には正しい順番がある」ということです。今回はその考え⽅と、具体的な取り組み⽅について解説します。
本記事でご紹介する内容には、次のような特徴があります。
まず、精読と多読のそれぞれの意味を整理しておきましょう。
精読とは、英⽂を丁寧に読み解く作業です。知らない単語を調べ、⽂法構造を確認し、「なぜこの⽂はこういう意味になるのか」を理解していきます。わからない部分をわかる状態に変えていく、質を⾼める学習です。
多読とは、⼤量の英⽂を読む練習です。過去問や問題集をたくさん解く、英字新聞や洋書を読む、といった学習が該当します。英語を読む作業そのものに慣れることで、読むスピードを上げていく、量を積み上げる学習です。
どちらも⻑⽂読解⼒を伸ばすうえで⽋かせませんが、取り組む順番を間違えると、どれだけ時間をかけても効果が出にくくなります。
指導をしていると、「過去問をたくさん解いているのになかなか点数が上がらない」という相談を受けることがあります。そのような⽣徒の学習状況を確認すると、多くの場合、共通した原因が⾒えてきます。理解できていない⽂法・知らない単語が残ったまま、量だけを積み上げているのです。
わからない部分をわからないままにして量をこなしても、読めない英⽂は読めないままです。野球のバッティング練習に例えると、フォームが崩れたままひたすら素振りを続けているようなものです。素振りの回数は増えても、正しく打てるようにはなりません。フォームを修正する(=精読で基礎を固める)作業があって初めて、素振り(=多読)が意味を持ちます。
つまり、多読の効果を最⼤化するためには、先に精読で基礎を固めておく必要があるのです。
では、精読で基礎が固まった後の多読には、どんな意味があるのでしょうか。多読の最⼤の⽬的は、「慣れ」によって読むスピードを上げることです。
単語や⽂法を精読で理解したとしても、その知識がすぐにスムーズに使えるわけではありません。知識を「必要なときに素早く引き出せる状態」にするためには、⼤量の英⽂を読む経験が必要です。
試験本番で時間が⾜りなくなる原因の多くは、語彙や⽂法の知識不⾜ではなく、知っているはずの知識を引き出すスピードが追いついていないことにあります。多読によって英語を読む作業に慣れることで、知識を引き出すスピードが上がり、読解スピードが向上します。
まとめると、多読の⽬的は「新しい知識を得ること」ではなく、「すでに持っている知識を素早く使えるようにすること」です。この違いを理解しているかどうかで、多読の効果は⼤きく変わります。
精読と多読の役割を理解したうえで、具体的にどう進めるかをご説明します。
ステップ①:精読で基礎を固める
まず取り組むべきは精読です。問題集や過去問を解いた後、間違えた問題・読めなかった箇所を徹底的に分析します。
精読で確認すべきポイントは以下の3つです。
・知らない単語があったか
知らない単語はオリジナル単語帳に追加し、繰り返し復習できる状態にします(オリジナル単語帳の作り⽅については過去の記事をご参照ください)。
・⽂法構造が把握できていたか
主語・動詞・⽬的語の関係、修飾関係、接続詞の働きなどを確認します。「なんとなく読めた」ではなく、「なぜこの⽂はこういう意味になるのか」を説明できる状態を⽬指しましょう。
・⽂章全体の論理の流れを把握できていたか
英語の説明⽂・論説⽂は、段落ごとに明確な役割があります。各段落が「主張・根拠・例・まとめ」のどれに当たるかを意識しながら読む練習をしましょう。
ステップ②:多読で慣れる
精読を積み重ねて基礎が固まってきたら、多読に移⾏します。多読では、精読のときのように細かく⽴ち⽌まる必要はありません。全体の意味を把握しながら、できるだけスムーズに読み進めることを意識してください。
⼤学受験・英検の⽂脈での多読として、以下をおすすめします。
・志望校・⽬標級の過去問を時間を計って解く
本番と同じ条件で解くことで、時間内に読み切る感覚を養えます。
・解いた問題を復習する
過去問を精読し、わからないところがないかを確認しましょう。
・⾃分のレベルより少し易しい英⽂を⼤量に読む
英字新聞・英語のウェブ記事・英語学習⽤に書かれた洋書など、辞書なしでほぼ理解できるレベルの英⽂をたくさん読む経験も、読むスピードの向上に効果的です。
「精読と多読、どちらにどれくらいの時間をかければいいか」という質問をよく受けます。これは学習の段階によって変わります。英語学習の初期・中期段階では、精読の⽐重を⾼くすることをおすすめします。先述の通り、基礎が固まっていない状態で多読の⽐重を上げても、効果は薄いからです。
語彙・⽂法の基礎が整い、問題集の英⽂を精読してもほとんど疑問点が出なくなってきたら、多読の⽐重を上げていく段階です。私⾃⾝も、塾のテキストを精読で仕上げた後、過去問10年分の多読に移⾏したことで、初⾒の英⽂でも安定して読めるようになりました。
ここまで、精読と多読の役割と正しい順番について解説しました。
「とにかくたくさん英語を読め」というアドバイスは、基礎が固まった状態であれば正しいです。しかし、基礎が整っていない段階で多読だけを続けても、読解⼒はなかなか伸びません。まず精読で「わからない」を「わかる」に変え、その後多読で「知識を素早く引き出す⼒」を鍛える。この順番を意識するだけで、⻑⽂読解⼒の伸び⽅が⼤きく変わります。
今まで多読中⼼で取り組んできた⽅は、⼀度⽴ち⽌まって精読の時間を増やしてみてください。きっと変化を感じられるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。